株式会社カネタ

社員の父親が体調をくずし入院して約1ヶ月。出張が彼の故郷なので同行させた。彼の父親は昔堅気の職人だった。人づき合いが大の苦手ときているが、時々訪ねる私にはいつも照れくさそうにﾆｺﾆｺしてくれた。そして自分で作った果物などを送って頂き、皆の評判とはちがう顔を見せてくれるのだった。彼が帰って来たのを待っていたように息を引き取ったそうです。
あわただしくお葬式を済ませて帰って来た彼が朝礼で「もの心がついてから初めて親の顔に触ったらとても暖かかった。自分はこの感触を失うのだと実感した。みんなも普段は親を意識しないと思うがどうか大事にしてほしい」とあいさつした。
そんな彼はとてもシャイでいつも憮然とした顔で人を寄せ付けない印象を与えるが腕は確かな昔堅気な職人で、時々私を手こずらせる。よく喧嘩もしたが頼もしい片腕だ。彼は子供の頃に父親が叩きだして作った龍をみて父親のような職人になろうと思ったと話してくれたことがあった。本人は気付いているだろうか？父親に本当にそっくりな職人気質を持っていることを・・・・・・。